NEWS NO.73 (2017年度)
臼井優准教授が筆頭著者の論文がATLAS of Science誌に紹介
本学獣医学群獣医学類食品衛生学ユニットの臼井優准教授が筆頭著者で、嫌気性菌に関し世界的に権威のある専門科学雑誌であるAnaerobe 43(2017)15-20に掲載された論文(Survival of Clostridium difficile spore in manure compost)が、注目される科学論文を広く世界中に知らしめることを目的にスエーデンで創刊された「ATLAS of Science」誌に概要が掲載されました。
C. difficileは人の偽膜性大腸炎や抗菌薬関連下痢症の起因菌として知られており、院内感染の主要な起因菌として、最近、世界的に注目されている細菌です。食品衛生学ユニットでは、その由来の一つとして動物との関連を解明するため分子疫学調査を実施し、いろいろな動物が保菌することを明らかにしています。今般、この細菌が環境変化に強い芽胞を形成することから、堆肥化過程で生じる熱に対しても安定であることを実験室内実験で確認しました。また、実際に野外の堆肥を調べたところ、14農場中5農場の豚農場由来堆肥からC. difficileが検出されたことを報告したものです。このことは、ヒトで問題となっている病原細菌が、家畜から環境を経由してヒトに伝播する可能性を示すことになりました。責任著者である田村豊教授(動物薬教育研究センター)は、「私たちの研究が紹介されたのは、C.difficileによる院内感染が世界的な問題となっていることから、新たな切り口での予防法の開発に続くものと期待された結果と考えている」と述べています。
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