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実践酪農学で、足寄町の酪農家 吉川友二氏が講義

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NEWS NO.22(2015年度)

実践酪農学で、足寄町の酪農家 吉川友二氏が講義

 

 本学の農食環境学群・循環農学類の「実践酪農学」では、農業の分野でさまざまな立場で活躍している外部講師を招き、講義を行っています。4月29日(金)は、足寄町で放牧酪農を営む吉川友二氏が、「放牧酪農ってなんだ?ニュージーランド酪農とありがとう牧場の軌跡と展望」と題して、講義を行いました。

 

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 吉川氏は1994年から1998年までの4年間に渡ってニュージーランドで放牧酪農を学び、帰国後は、足寄町の放牧酪農による新規就農第1号として、2000年に就農しました。現在は、「ありがとう牧場」の100haの農地に、ホルスタイン種とブラウンスイス種の乳牛を通年放牧で飼育し、牛舎にはビニールハウスを使うなど、低コスト・省力化の酪農経営を実現しています。また、放牧酪農の知識と経験を後続の新規就農者に伝える活動を行い、その結果、町内で放牧酪農に取り組む農家は増加しています。2013年には「しあわせチーズ工房」を立ち上げ、乳製品の製造販売という6次産業化にも積極的に取り組むなど、足寄町の地域活性化に尽力しています。

 

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●吉川友二氏の講義

 「牛は、人間には食べられない草を食べ、それを牛乳や肉に変えるというすばらしい能力があります。しかし、日本の酪農では、人間と競合する穀物飼料を、1日あたりの飼料総量の半量であるおよそ10㎏与えるのが普通です。私はそれに疑問を持ち、ニュージーランドでは穀物飼料を使わない放牧酪農をしていると知って、勉強をするためにニュージーランドに渡りました。

 ニュージーランドは日本よりも物価や金利が高く、酪農業への補助金もありません。そのような環境下で、酪農家はプライドを持ち、人に頼らない独立自尊の経営をしています。新規就農が難しいことが優秀な人材を育て、牧草は1本も無駄にしないくらいきれいに食べさせ、雑草と言われていた草も品種改良して、牛が食べられるようにしています。1牧場あたりの平均飼養頭数は400頭ですが、2,500頭を飼育している大規模農家もいれば、搾乳牛は4頭のみで、1頭ごとにその名前をつけたチーズを造って販売し、生計を立てている酪農家もいます。

 日本の酪農は、主体性を持たない補助金だよりの経営です。補助金によって大規模化に誘導され、生産量を増やすため穀物を多給し、過重労働を強いられています。そのことが、農村の衰退や人口減少を招き、経営的にも環境的にも持続可能ではありません。大規模化から最少適正規模への転換は、放牧酪農で達成できると私は思っています。北海道で放牧をしている酪農家は1割にも満たないのが現状ですが、牛舎飼いに比べて経費がかからず省力化できる、とても合理的な農法です。最近は、経営面の利点から見直されつつあります。

 ニュージーランドに比べて、北海道は地価や金利が低く、乳価は2倍で、とても恵まれた条件下にあります。しかし、北海道の酪農家はそれを生かしきれてはいません。自分はどういう生活をしたいのかを考え、主体性を持って判断し、経営することが大切です」。

 

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