NEWS NO.6(2022年度)
金田勇教授が「日本レオロジー学会2022年通常総会および第49年会」論文賞を受賞
5月 12日、13日にオンライン開催された「日本レオロジー学会2022年通常総会および第49年会」において、食と健康学類の金田勇教授(食品物性学研究室)が発表した論文が日本レオロジー学会論文賞を受賞しました。
<受賞論文>
Rheological properties of low oil mayonnaise by replacing oil droplets with agar micro-gels.
(寒天ミクロゲルで油分の一部が置換された低油分マヨネーズのレオロジー特性)
<論文要旨>(和訳)
油分の一部を寒天マイクロゲルに置き換えた低カロリーのマヨネーズプロトタイプを構築しました。 5s-1での通常マヨネーズ(F-mayo)の見かけ粘度は36.0 Pa×sでしたが、油分を半減させると(H-mayo)その値は1.75 Pa×sに急激に減少しました。 しかし、オイルの半量を寒天ミクロゲルで置換したマヨネーズ(A-mayo)の粘度は38.2 Pa×sと通常マヨネーズと同程度に回復しました。さらに、weak-gel modelで動的弾性率を分析することにより、マヨネーズのコロイドレベルの構造に関する情報を得ました。系内のコロイド粒子の空間密度に関連する配位数zはF-mayoでは13.9でしたが、H-mayoの値6.54とF-mayoのほぼ半分でした。このようにzの値と油分配合量の間に高い相関があることからzはモデルマヨネーズ内のコロイドレベルの構造に関する情報を提示していると考えられます。一方で A-mayoのz値は11.7と同じ油分量のH-mayoに対して大幅に改善されました。これらの結果から、寒天ミクロヘルを配合した低油分マヨネーズは通常マヨネーズに類似した流動特性、すなわちテクスチャーを示すことが示唆されました。
<選考理由>
マヨネーズのテスクチャーに関して、油を寒天マイクロゲルで代替したモデル系を構築し、系統的なレオロジー測定実施しています。Weak gelモデルを用いた粘弾性解析から、コロイド粒子の空間密度に関連する配位数Z値がマヨネーズ中の油分配合量と高い相関のあることを見出しているのは大変興味深いことです。食品は扱いづらいサンプルが多いですが、同様の評価法が今後他の食品等にも適用できるのではないかと期待され、低油分マヨネーズの開発など今後の健康食品分野において非常に有益で実用的な情報が含まれた論文であると高く評価できます。
<受賞コメント>
この度は伝統ある日本レオロジー学会論文賞を受賞することができ大変うれしく思っています。対象論文の研究は1980年代に発表されたマクロな力学物性パラメータからコロイドレベルの構造に関する情報が得られるという理論モデル(weak-gel model)に再び着目し、食品のモデルとしてマヨネーズを取り上げ実験的にこの理論が適応可能であることを示したものです。このモデルは食品全般に一般的に適応可能である可能性があり、食品物性学研究室で研究対象としている様々な食品の物性研究に活用しています。今後も引き続き学生諸君と研究を進めて良い論文を書いていきたいと思っています。
【参考】関連リンク
◇2022.01.13アグリビジネス創出フェア2021でナチュラルチーズ熟成における微細構造解析に関する知見を報告
https://www.rakuno.ac.jp/archives/19956.html
◇食と健康学類
https://www.rakuno.ac.jp/department/food.html
◇食と健康学類Instagram
https://www.instagram.com/rakuno_shokuken/
【参考】教員・研究室一覧
◇金田 勇 教授(食品物性学研究室)
https://www.rakuno.ac.jp/archives/teacher/9288.html
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