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ようこそ先輩!実践酪農学で中村由美子氏が講義

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NEWS NO.22(2014年度)

ようこそ先輩!実践酪農学で中村由美子氏が講義

 

本学農食環境学群循環農学類の「実践酪農学」では、酪農の分野でさまざまな立場で活躍している外部講師を招き、講義を行っています。6月6日(金)は、1979年に本学酪農学科を卒業した中村由美子氏が「酪農を軸として食と地域を考える」と題して講義を行いました。

中村由美子氏は千歳市で牧場経営主として、ホルスタインの経産牛30頭、未経産牛20頭を飼育。女性農業者ネットワーク「きたひとネット」の事務局長であり、農業総合月刊誌「農家の友」の編集委員も務めています。また、千歳市駒里地区の農業の再生と地域振興を目的に千歳市駒里農業協同組合を設立し、駒里地区で収穫されたそばを「千歳駒そば」として提供する店舗「駒そば亭」を運営、2月からは店長を務めるなど、多方面にわたって活躍しています。

 

P1040715●中村由美子氏の講義●

「私は酪農家の四姉妹の長女として生まれました。高校は普通科を選択しましたが、進路を真剣に考えたとき、酪農を継ぐことを決意して酪農学園大学に進学しました。そこで夫となる同期生と知り合い、彼が婿入りして後継者となりました。その頃は、私の牧場のある駒里地区は共進会が盛んで、イベントも多く、地域が元気な時代でした。20年前に15、6戸あった酪農家は今は5戸に減ってしまい、観光農園のみで生乳を出荷していない農家もあります。

 

1982年からは、女性も経営を勉強しなければという意識から、酪農学園短大の通信教育による簿記コースを受講しました。そして、青色申告を始めたのですが、牧場の経営状況がかなり厳しいことが分かってきました。この頃「千歳川放水路計画」がすすめられ、私の牧場は水没予定地にすっぽりと入っていました。いずれは国が土地を買い上げるということで、損失は高金利の短期借入金で補填し、負債はどんどん膨らんでいきました。17年後にこの計画は中止され、1億円を超える負債を抱えることになりました。計画を推進していた千歳市開拓農協は破綻し、5年前に正式に解散が決まって未だに清算中です。

 

2003年頃、夫が次第に運動機能が失われていく難病を発症しました。病気が進行するに従って、私の仕事の比重が増していきました。夫は自分が経営できた最後の年に、女性の私に酪農経営は無理だと考え、借地を手放し、ほとんどの牛を黒毛和牛と掛け合わせた肉牛にして残しました。しかし、私は酪農を続けていこうと決意し、牧場経営主となりました。後継牛が生まれない苦しい状況でしたが、未開の土地を自力で開拓して牧草地に変えたり、新たに牧草地を借りたり、投資を増やさずに手持ちの資産をできる限り活用して、2009年には負債を半分にまで減らし、今は返済のめどがたちました。

 

2008年には、女性農業者ネットワーク「きたひとネット」を設立しました。道内の女性農業者が、相互交流を柱に、経営感覚を身に付けて成長し、次世代を育て、地域を守っていくことを目的としています。

女性も酪農経営はできます。経営に参画するということは、帳簿を付けたり税務申告をするだけではありません。企画、計画の決定に関わることです。判断し、決定し、結果に責任を持つためには、正しい情報を得て、どこに投資してどこを伸ばしていくか、しっかりと見極める必要があります。きたひとネットの会合では、まず国際情勢やTPP問題、資材価格の推移などについて情報を交換し合っています。

私自身、仲間たちからたくさんの情報を得て学ぶことができ、自分の進む方向に確信を持てるようになりました。このネットワークを通じて、女性農業者や新規就農者、若い農業者がさらに元気な北海道になるよう、少しでも貢献したいと思っています。また、消費者や異業種の方たちとも交流し、食と命の大切さを伝えていきたいと考えています。

 

もし、みなさんが農業関係の仕事をしたいと思えば、受け入れてくれるところはたくさんありますし、就農支援も受けられます。ぜひ、農業に関わる仕事を選んで欲しいと思います。食が命と密接に繋がっていることを考えながら、北海道で農業に携わってください」。

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