NEWS NO.118(2017年度)
RGU生物図鑑【エゾサンショウウオ(蝦夷山椒魚)】
学名:Hynobius retardatus 英名:Ezo Salamander科:サンショウウオ科(Hynobiidae) 属:サンショウウオ属:(Hynobius )
【エゾサンショウウオあれこれ】
- サンショウウオ(山椒魚)名前の由来には、多くの説がありますが、その1つに、尾の基部背側に天敵が嫌がるまずい物質を出す顆粒腺があり、それが山椒の臭いに近かったためという説があります。実際に、外来生物であるアライグマやミンク等に捕食されることがありますが、尾だけ食べ残されていることが多いです。
- サンショウウオ科の中では大型で、全長約20㎝の個体も見つかっています。
- 日本に生息している28種類のサンショウウオ科のうちの1種で、北海道の離島を除く北海道本島全域に分布している日本固有種のサンショウウオです。
- 前肢の指は4本、後肢の指の数は5本あります。北海道に生息しているもう1種類のサンショウウオであるキタサンショウウオは前後肢共に4本ずつでエゾサンショウウオとはことなります。
- 繁殖期は3月~6月頃まで(1個体の繁殖期間は1カ月~2か月くらい)で、15㎝程度のコイルの状の卵塊を1度に1対(2本)産みます。卵嚢には60~150個の胚が包まれています。
- 卵から孵ると、水生昆虫や、プランクトン、カエルやサンショウウオの幼生などを食べます。カエルやサンショウオの幼生をたくさん食べた幼生は、さらにそれらを食べやすいようにあごを大きくする個体もいます。サンショウウオの幼生と同じ水域に住んでいるカエルの幼生は、サンショウウオに食べられないように、頭を大きく膨らませる個体もいます。上陸した後は、昆虫やクモ、ミミズなどを食べます。
- サンショウウオはカエルと幼生(オタマジャクシ)の形が少し異なり、エラがから画の外に出ています。外鰓(がいさい)といい、カエルの幼生は体の中にエラがあるため内鰓(ないさい)といいます。カエルは後ろ足から生えてくるのに対して、サンショウウオは前足から生えてきます。
- エゾサンショウウオは一般的に春に産卵され、夏を幼生として過ごし、秋に変態して上陸します。低温の水域に生息する個体は変態するのが遅くなり、秋に上陸が間に合わない個体もいます。その場合、次の年の春、もしくは初夏に変態し、上陸します。そのような水中で越冬する幼生のことを越冬幼生といいます。
- 変態したその年(1年目)を幼体と呼び、冬を越した次の年から亜成体と、名称が変わります。卵を産めるような成体になるまでには4年ほどかかるといわれています。幼体、亜成体の特徴で、体の色が金粉をまぶしたような金色になるものが多いです。顕微鏡で皮膚を見てみると、細胞と細胞の間に金色が入り込んでいるように見ええます。成体になるに連れて金色がなくなり、茶色や黒色の目立たない色に変わっていきます。
(文責)環境共生学類 4年 杉目良平