NEWS NO.137(2016年度)
「実践農学コース」での長期実習体験を発表
本学循環農学類の「実践農学コース」では、2年生を対象に、農家に入って学ぶ長期実習を行っています。教養や知識だけではなく、それを現場で生かす「実学教育」です。10月28日(金)の講義では、この実習に参加した5名の学生が、体験報告を行いました。
はじめに猫本健司准教授(実践農学研究室)が、「実践農学実習は、ゴールデンウィークに10日間、夏休み中の8月に10日間、9月に20日間、合計40日間を農家での住み込み実習を行う、ハードなカリキュラムです。畑作や園芸作物、花きなどの農家で実習を行いますが、畑作の場合は作物の種類が多様なので、さまざまな農家で短期間の実習をした方が勉強になると考え、このような方式をとっています。まだスタートしたばかりで、今回報告してくれるのは、この実習の一期生のみなさんです」と説明しました。
「9月の20日間の実習は、浦臼町の井川バラ園に行きました。仲の良い友人が高校時代にバラ農家でファームステイをしたことがあり、花が好きなら行ってみたらどうかと勧められたことから、バラ農家を希望しました。1日のスケジュールは、8時から仕事開始で、水やりや脇芽とりなどをし、午後からは花切りをして、だいたい18時30分ころには終了しました。バラを切る時期は品種ごとに異なり、それを見極める作業を任せてもらえるようになったのが楽しかったです」。
「ゴールデンウィークにお世話になったのは、小麦やじゃがいも、ブロッコリー、レタスなど、多種多様な野菜を栽培している企業農家で、8月にお世話になったのは、ニラやトマト、米を栽培している個人農家でした。企業農家では、多くの作物の作業が平行して行われており、広く浅く、技術を勉強することができました。個人農家では、生活を共にし、限られた種類の作物の細かい作業を行うことで、狭く深く、技術を勉強できました。各10日間、合計20日間の実習を通して、作物を育てる大変さや難しさを知りました。これから自分が何を学ぶべきか知るきっかけになりましたので、みなさんもぜひ受講してほしいと思います」。
「ゴールデンウィーク、8月、9月と、合計40日間の実習を行いました。レタスやキャベツを生産している農家、馬鈴薯やトマト、ニラなどを生産している農家、トマトと食用ほおずきを生産している農家に行きました。農作業をする以外に、市民祭りに出店した時には販売員としてお手伝いをすることもありました。友人や家族に会えないのが寂しく、研修期間はとにかく長く感じられました。それでも、人見知りを克服できて人脈が広がりましたし、私は本当に農業が好きだと気づくことができました。自分の人生にとって、必要不可欠な40日間だったと感じています」。
「むかわ町と滝上町で、合計40日間の実習を行いました。滝上町の農家は自然農法をしており、畑を耕さず、農薬や肥料を全く使いません。多種類の作物を作っているので、日によって作業内容が異なり、比較的ゆったりとしたスケジュールでした。どちらの農家もトマトを出荷していましたが、むかわ町は農協を通しており、青いままで出荷するのに対し、滝上町では生産者に直接送るので、真っ赤に熟してから出荷しているのが印象的でした。複数の農家で実習し、栽培方法や経営方法を比較できたことで、とても勉強になりました。また、廃棄する野菜があまりに多いことを知り、これらを生かす方法はないかと考えるようになりました」。
「前半は南幌町で、後半は女満別町で実習を行いました。南幌町の作物はカボチャが主で、収穫、選別、カボチャ磨きをしました。カボチャ磨きは、焼酎を使って土や草などの汚れを落とす作業です。焼酎を使うのは、水よりも蒸発しやすいため、作業が早く進むとのことでした。この実習で、農家の労働時間や生活リズムを体験でき、経営の現状や、大変さも知ることができました。そして、農家の方の地域愛が伝わってきて、私もその地域が好きになりました」。